三嶺山~天狗塚縦走 パート4 お亀岩避難小屋滞在
2022.07.12
西日本でも名だたる高い山々に囲まれた、徳島県三好市祖谷地方は、登山やキャンプに人気のエリア。この6パートにわたる特集では、壮大な眺めに満ちた尾根道を歩き、静寂に包まれて山小屋に泊まる、1泊2日中級トレッキングコースについて紹介する。
【前回までの記事はこちら】
>>パート1 1泊2日四国の山々を渡る
>>パート2 三嶺山頂へ
>>パート3 西熊山~お亀岩避難小屋
四国有数の雄大な景観が楽しめる三嶺・天狗塚縦走後半 いよいよ山小屋宿泊
西熊山にある「お亀岩避難小屋」の位置は県境を越え、高知県側になっている。この山小屋は無人の避難小屋の中でも群を抜いて、とても手入れの行き届いている施設だ。
標高1640m、きれいに使用されている山小屋からは、東に白髪山を見下ろす。外にも広いスペースがあり、リラックスして静けさに浸ることができる。
中は床が2階になっており、約20人ほどが宿泊できるスペースがあり、また、外にもテントを張るスペースが十分にある。トイレは建物と一体だが、出入り口は外から。
三嶺ヒュッテと同様、ここも無人で予約など不要、先着順となる。電気もないため、全て持参する必要がある。
水は山小屋から小道を5分ほど下ったところの湧き水を使用する。水場のまわりは野生動物が入らない様に網で覆われているが、水を飲む前には浄水することを勧める。
薪ストーブのある山小屋 自然からの恵みの暖かさ
この避難小屋ではひとつ大きな特徴がある。それは薪ストーブとそれを囲むベンチのある、入口兼リビングルームの様なスペースだ。これは寒い時期に登山、もしくは春秋でも気温がぐっと下がる山で滞在するのに大いに助けになる。
また、ここ近年で薪ストーブが新しいものに交換もされていた。
(※注意 薪は限られているので、必要な場合にのみ使用すること。使用の場合も火には注意して安全に。筆者は薪の在庫を減らさない様、乾いた薪を少し持参している。)
休憩後は、夕飯を作る。野菜と卵を入れたラーメンだ。ここには大型の木のコースターがあり、この上での調理するように記載がある。いくつかの木のベンチの上には輪の形に焦げた跡があるが、安全のためにも木の板を使おう。
尾根から美しい夕日を堪能した後は静寂な夜に浸る
この日は、6月上旬のため、午後7時ぐらいまで外は明るかったので、少し待って、夕陽を見るために尾根まで数分歩いた。
尾根に着くと、そこから笹の中で跳ねている鹿が7~8頭いた。しかし、人がいるのに気が付いたのが、撮影する前に、鹿は去ってしまった。
そして美しい夕日を眺めた。まわりには誰もいない静かな日没だった。
山小屋に戻り、薪ストーブに火をつけた。最初に中や下の引き出しの灰を出してから、火を焚く。
夜の気温は約6度まで下がったが、1時間だけ使用した薪ストーブの部屋は暖かく、おやつに持ってきたポップコーンもキャンプ用コンロで作って、ストーブの横で温まりながら楽しんだ。
夜にやってくる山のお友達 食材の管理には気を付けよう
寝る前に、少しの間、外で満天の星空を楽しむ。
暗闇の中からは、下の小川にでもいるのだろうカエルののどかな声が聞こえてきた。
すぐに眠りに落ちたが、眠っている間、ストーブの部屋で何かがガサゴソ走りまわる音で何度か目を覚ました。
その晩は避難小屋泊は自分一人だけ、調理の用具も洗って片付けていたのだが、夕食やポップコーンのにおいが残る部屋にねずみが来たのだろう。
山小屋等では、食べ物、食品のゴミ(お菓子の包みなども)、においのあるもの(石鹸なども)は全て袋に入れて、天井のフックや物干し用ロープに吊るした方が良い。
翌朝に穴の開いた食品の袋を発見している登山者を見ることもしばしばだ。
パート5では、縦走を続け、天狗塚に向かって出発する。
【次の記事はこちら】
>>三嶺山~天狗塚縦走 パート5 縦走2日目、天狗塚を目指す
詳細はこちら
三嶺山ルート&トレッキングマップ
https://www.iyatime.com/mt-miune
(取材・文・写真: ショーン ラムジー)
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