三嶺山~天狗塚縦走 パート1 1泊2日四国の山々を渡る
2022.06.21
徳島県三好市、市の中心部から離れた山深い祖谷地域には、四国で一番ではとの声も上がる登山コースがいくつかある。壮大な眺めに満ちた尾根道を歩き、静寂に包まれて山小屋に泊まる。このシリーズでは、公共バスでアクセスできる、1泊2日中級トレッキングコースについて詳しく紹介する。
剣山の西、三嶺から天狗塚までの美しい尾根は中級登山者向けの天空の楽園
徳島県の最高峰、剣山。標高1955m。西日本で2番目に高い山でもある。その有名さとアクセスの良さから、多くのハイカーを惹きつけてやまないが、剣山の尾根の西に隣接するさらに絶景の山々へは、登山者は少なく、文字どおり「山々の自然だけに抱かれる」登山道がひっそりと続いている。
この特集のシリーズでは、剣山国定公園内の二つの山、三嶺山(1894m)と天狗塚(1812m)をつなぐパノラマの眺めの尾根を縦走し、途中ではお亀岩避難小屋で一晩を過ごす。
なお、このコースは、山小屋での一泊、もしくはキャンプの用品を備えた、ある程度経験のある中級登山者向け。初心者向けには難しいこともあるので、その際は、経験のある山岳ガイドに同行してもらうのが良いだろう。
公共バスで「三嶺登山口」へ
※ここで案内するバス時刻は、変更される可能性があるため、事前確認が必要。また、2024年もしくは2025年に、祖谷を通るバスの時刻とルートの大幅な変更も予定されている。
この登山ルートの出発点は、奥祖谷でも山深いところにある名頃集落にある、「三嶺登山口」から。名頃集落は、「かかしの里」としても多くの観光客が訪れる場所だが、何百体もの等身大のかかしが並ぶ様子は圧巻である。
三好市中心部の池田エリア(JR阿波池田駅前)、もしくは途中のJR大歩危駅前から「名頃」までは、一度乗り換えをして、バスで行くことができる。
池田・大歩危エリアからは早い時間の出発がおすすめ
池田・大歩危から名頃までのバス(久保で乗り換え有)は1日4本運行しているが、暗くなる前に山小屋まで着くように、初めの2本の早い時間のバスだけをおすすめする。
三嶺山~天狗塚縦走コースでは、山小屋は2つあり、この記事では「お亀岩避難小屋」を紹介しているが、一番早いバスで来た場合のみ。二番目のバスで来た場合は、個人差はあるが、おそらく「三嶺ヒュッテ」に滞在することになる。
四国交通バスは、阿波池田バスターミナルから「久保」行、08:15発と11:25発。これが祖谷行のはじめの2本のバスだ。
JR阿波池田駅まで列車で来た場合は、上記のバスが08:16と11:26に、JR阿波池田駅に停車。
また、JR大歩危駅からバスに乗り換える場合は、2本のバス時刻は、08:56と12:02、JR大歩危駅前発。
阿波池田バスターミナル・JR阿波池田(もしくはJR大歩危駅)から乗車の際は、東祖谷の「久保」の最終停留所まで乗車。10:06、もしくは13:16に到着。
東祖谷「久保」バス停で乗換え
久保バス停からは、さらに三好市営バス(平日は大型ワゴン車のことが多い)に乗り換えて、ここから名頃へ向かう。
(注 久保バス停はこの2日間の縦走を終えてまた戻ってくる場所。帰りも、ここで池田方面へのバスへ乗車。ここにトイレがあるが、それ以外はほとんど公衆トイレはないので注意。)
久保から名頃への市営バス(ワゴンバス)は1年中運行しており、四国バスから市営バスへの乗り換えは数分の待ち時間があるのみ。
久保10:08 / 13:18発、名頃10:33 / 13:43着。
なお、かかしの並ぶ名頃には、公衆トイレはあるが、お店や食堂はないので必要なものは全て準備してくる必要がある。
広い駐車場、トイレを備えた名頃の「三嶺登山口」
名頃に到着したら、バス停から道路を約100mほど歩くと、「三嶺登山口」と書かれた看板がある。右の橋を渡り、駐車場を通り過ぎる。
ここは標高915m、登山道は駐車場右方向、公衆トイレを過ぎたところから始まる。道路から登山口まではわずか2~3分。
この取材時は、工事が行われていたため迂回路を行くことになった。
準備を万全にして出発 三嶺山頂までは自然林の中をひたすら登る
はじめの部分の行程は、このルートで一番大変な部分だ。急勾配になるのですぐに分かるだろう。三嶺山の頂上までは約3時間の上りが続く。水場は頂上付近の湧き水だけなので、十分な量の飲み物を持っていく必要がある。
取材時は蒸し暑くなる前の6月上旬で、程よい気温だったが、夏に行くような場合は十分な水分やエネルギー補給をして、休憩もとりながら、熱中症にならない様に気をつけて登ろう。
また、出発前の天気の確認もしっかりと。この縦走の醍醐味は尾根からの絶景。天気が悪いと雨や厚い雲でせっかくの景色も見えなくなってしまうこともある。
尾根道では風がある日は、飛ばされそうになるぐらいに風が強いこともあるため、台風などの強風を伴った天気の登山は絶対に避けよう。
パート2では、三嶺山の頂上へ。
【次の記事はこちら】
>>三嶺山~天狗塚縦走 パート2 三嶺山頂へ
追加情報はこちら
三嶺山ルート&トレッキングマップ
https://www.iyatime.com/mt-miune
四国交通バス 時刻表
https://yonkoh.co.jp/routebus
三好市バス 時刻表
https://www.miyoshi.i-tokushima.jp/docs/4292.html
(取材・文・写真: ショーン ラムジー)
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天空の村・かかしの里
東祖谷の名頃地区のいたるところに300体以上のかかしがおり、農作業をしたり井戸端会議をしたりするかかし達の風景に思わず心が和む。「かかし村基本台帳」も用意されて村を賑やかにしている。
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剣山
標高(1,955m)神秘の雲海に、紀州や瀬戸内海、足摺岬までも見渡せる見事な眺望を誇る四国の尾根。安徳天皇の剣を山中に隠したという伝説からこの名が付いたとされ、山岳信仰の霊山として広く知られている。
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落合峠
眺望の良い峠一帯には低いクマザサの群生が広がっています。県道44号線、標高1,520m。
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