大地の力が眠る徳島県! 三好市のパワースポットを巡る旅 Part6|三好の地を見守る古刹・箸蔵寺

2022.12.14

特集

誰もが学校で勉強したであろう「中央構造線」。みなさんは覚えているだろうか。九州東部から関東へと横断する世界第一級の大断層で、地図を開けば徳島県の北部で緑の自然が途切れている様子を目にできる。

四国地方といえば「八十八ケ所巡り」のお遍路が有名だが、徳島県三好市は国内だけではなく、実は海外からも注目を集めていることをご存知だろうか。外国人からパワースポットとして密かに人気を博しているのは、圧倒的な大地の力も関係しているのかもしれない……。

ふと湧いた疑問を解消するため、同地の魅力を探る旅へと向かった。

【前回までの記事はこちら】
>>大地の力が眠る徳島県! 三好市のパワースポットを巡る旅 Part1|中央構造線が生み出した不思議な地形
>>大地の力が眠る徳島県! 三好市のパワースポットを巡る旅 Part2大歩危峡遊覧船で三好の自然を堪能
>>大地の力が眠る徳島県! 三好市のパワースポットを巡る旅 Part3|三好ジオパーク構想情報発信室「とこじお」へ
>>大地の力が眠る徳島県! 三好市のパワースポットを巡る旅 Part4|地元のジビエバーガーと古民家宿
>>大地の力が眠る徳島県! 三好市のパワースポットを巡る旅 Part5|四神が幸せを呼び込む開運の地

徳島県三好市池田 密教の霊験あらたかな雰囲気が漂う「箸蔵寺」

密厳寺を後にし、標高約600mの箸蔵山に建つ真言宗の古刹・箸蔵寺(はしくらじ)へも訪れることにした 。
ここも828年に弘法大師が開創したと伝わっており、「四国別格二十霊場」の一つに数えられる。

この別格二十霊場というのは、八十八ケ所巡りを終えた人が改めて訪ねる20の寺院のこと。
2つを合わせると煩悩の数「108」となり、煩悩を滅することを目的に両霊場を参拝する人も少なくない。

「箸を使うものを救う」こんぴらさんからのお告げにより空海が建立

箸蔵寺の住職・佐藤盛仁さんによると、「ここは開基から1,000年以上の歴史があるお寺です。かつて、お大師様がこんぴらさん(金毘羅大権現)から受けた御神託が、箸蔵寺の名前の由来となりました」とのこと。

空海が受けた神託というのは、「箸を挙ぐる者、我誓ってこれを救はん」というもの。
「全ての者を救う(掬う)ための、橋(箸)渡し」から、“箸”の字が充てられたのだという。

また、敷地内にある階段や建物にも注目したい。
本坊から御本殿へと向かう道中の階段には、般若心経の文字が一段ごとに記されている。

佐藤住職によると、階段の数と般若心境の文字数が同じ278であることに気づき、読経や写経と同様に昇ることで功徳を得る「般若心経昇経段」として、2019年に設置したそうだ。

精巧な芸術作品 国の重要文化財にも指定された風格ある建築

そして、本坊や護摩殿などの建物には、細部まで丁寧かつ豪快な彫刻が施されている。
全ての方角・時間を守るために干支の彫刻が配されているほか、海上安全を願う龍の彫刻が設られているなど、意匠の精巧さについつい見惚れてしまう。

神道と仏教が共存する「神仏習合」の箸蔵寺

「明治維新の頃には、神仏分離によって多くの寺が解体されました。けれど、当寺は神道と仏教が一つになった神仏習合のまま、今なお厚い信仰を受けています」

真言宗御室派に属する箸蔵寺が神仏分離を逃れられたのは、本山である京都仁和寺の住職が天皇ゆかりの「純仁法親王」であり、明治維新に大きく貢献したことが理由だと考えられている。

「当寺は密教なので、様々な本尊を祀っているのが特徴です。神道・仏教どちらの方法でもお参りしていただけますが、金毘羅大権現様をお祀りしている本殿には、信仰の深い方のみお入りいただくようご案内しています」

三好の地を見守るかのように箸蔵山の上に建つ箸蔵寺は、古くから人々の心の拠り所となってきた。
連綿と続く地元住民の信仰心の前で、襟を正す気持ちになったのは言うまでもない。

観光がてらパワースポット的に訪れるのは構わないが、寺社仏閣とは神聖な場所。
神仏はもちろん、信仰する全ての人々に失礼がないよう、心を落ち着け正しい作法でお参りしてもらいたい。

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【詳細情報】
箸蔵寺
https://miyoshi-city.jp/spot/箸蔵寺
住所:徳島県三好市池田町州津蔵谷1006
料金:無料(ロープウェイの利用は片道で大人900円、子ども680円ほか)

中央構造線から計り知れない大地のパワーがみなぎり、底知れぬ魅力あふれる三好市

日本列島が誕生するよりも前に生まれたといわれる中央構造線。
長い年月を経て四国に険しい山々を創り出し、一帯の景観は変化を遂げた。
そして、空海は大地の膨大な力を感じ取り、徳島をはじめ四国の地で修行を行ったと伝えられている。

徳島県三好市が国内外から密かに注目を集めるのは、地学また宗教的な観点から底知れぬ魅力が潜んでいるためだろう。
計り知れない大地のパワーがみなぎるこの地へ訪れ、長い歴史の中にある新しい発見と出会ってみてほしい。

編集:男の隠れ家デジタル 文:菅堅太 撮影:井野友樹

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