徳島県三好市祖谷の秘境を再び走れるようにしたい。ボンネットバスの再生を願う人々【part1】

2022.09.19

特集

徳島県の秘境をめぐる路線バス・観光バスとして活躍後、2021年に惜しまれつつ引退したレトロなボンネットバス

徳島県西部の過疎の街、そして日本三大秘境といわれる祖谷・大歩危小歩危を有する三好市。

1966年に製造されたそのバスは、三好市の人々の足として、そして観光の要として走り続けていた。

だが、いつかは走れなくなってしまう時は来る。「廃車にしようか…」バスを所有している四国交通社内から声があがった。

そんな時「なんとか走ってもらいたい、あの勇姿をもう一度見たい」地元の人々やSNSで知った全国のバスファン、ボンネットバスに乗った記憶のある人々の声が聞こえた。

様々な人々の思いを受けて車両を所有している四国交通がクラウドファンディングを行い、目標金額を大きく上回る寄付が集まった。

どんな考えや想いが寄付を集めたのか。支援金額だけではなく本当にそこに集まった物はなんだったのか。

四国交通への取材や、地元やファンの人々の声から見えてきた事をお伝えしていきたい。

皆に愛された三好市のボンネットバス 廃車の危機からクラウドファンディングへ

1966年製造から路線バスとして走りだし、その後1982年春に定期観光バスに役目を変え走り続けた、みんなのアイドルだったボンネット型の可愛いバス。
人々に愛され、惜しまれつつも2021年11月28日に定期観光バスとしてのラストランとなった。

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すでにその車体はぼろぼろになり、なんとか車検も通るような状態。ボディーの痛みももう限界で、その後廃車されてしまう予定だった。
しかし、同年の年の瀬に四国交通と同じ南海グループにある阪堺電車からとある提案があったそうだ。

「クラウドファンディングでの資金調達をしてみてはどうだろうか?」
阪堺電車でも、老朽化が進み保守整備などが困難になったために廃車にされようとした電車があった。
そこでクラウドファンディングを利用して資金を集め復活させた成功事例があり、同グループ内のボンネットバスにも活用できるのではないか?という内容だった。

希少価値の高いボンネットバスを残したい…バス会社としては珍しいクラウドファンディングに挑戦した四国交通

四国交通としてそのような方法で本当に人々が寄付をしてくれるのだろうか? 電車とバスでは利用者やファンの規模も大きく違うのでは?
不安と期待が入り混じりながら、クラウドファンディングを運営している会社や社内での調整を進め、社内プロジェクトチームが立ち上がった。

今まで経験もしたことが無いような業務内容に戸惑いつつも、担当となった営業部で力を合わせ、実施期間を7月~8月と予定し準備に入った。
募集が始まるまでに慣れないSNSを活用した告知や宣伝、またバスターミナルなどでのポスターなどでの地元住民への説明や周知を進めていき、クラウドファンディングがスタートした。

驚きと戸惑い。地元のみならず日本全国からボンネットバスへの想いを受け取り寄付を託された。

運営会社の説明では、開始3日間での初動で成功するかどうかがほぼわかる。
そんな話を聞いた担当者の不安をよそに、開始すぐに自分たちが思っていたよりも多くの寄付が集まり始める。

「これはすごい。いけるかもしれない。」
3日間で想定していた以上の金額が集まり、さらには地元新聞やテレビメディアに取り上げられることにより徳島県内からも寄付が多くなっていた。

「こんにちわ。」
徳島県三好市池田町の中心部にあるバスターミナルや四国交通の営業所に様々な人が訪ねてきた。

「幼かったころバスに乗って母と買い物に行ったりしたんだよ。」
「通学で使っていてね。」「仕事の通勤にいつも使っていた。」「いつも走っているところを見てた。」
「思い出のバスが無くなってしまうのは悲しい。また元気に走らせてほしい。」

そんな声とともに直接出向きボンネットバスの為にと、寄付を持ってきてくださる地元の人々がやってきたのだ。

過去と未来をつなぐボンネットバス 目標額を大きく上回る寄付が集まった

「これほどまでにこのバスは愛されていたんだ。自分たちだけのものではなくなっているんだな。」

地元の人々は高齢者が多く、インターネットにアクセスしてクラウドファンディングをすることが難しい方も。そんな方たちの為に運営会社に相談し、会社が代理での寄付を可能にした。
さらにインターネットを利用して、全国各地からも多額の寄付と多くの声も届けられた。

「私の地元でも当時ボンネットバスが走っていた、とても懐かしい。少しでも役立ててほしい。」
「昔ボンネットバスの運転手をしていた。まだ走っているなら残してほしい。」

募集締め切り期間よりも大幅に早く予定金額が集まり、さらに想定していた以上の寄付が集まった。目標金額 7,150,000円、実際に集まったのが9,774,000円という驚きと喜びの結果になった。

いつまでも元気に走り続けてほしい…寄付と共に寄せられる多数の応援コメント 自分たちが思っていた以上にボンネットバスは愛されている。

世に送り出され人々に利用され愛され55年という月日が経過するうちに、気が付けばボンネットバスは四国交通だけの車両ではなくなっていた。
想いを乗せてバスは修理工場へと向かった。

 

これから実際の修理に入るために修理工場へとすでに入庫し、部品製造や調達をして当時の姿を取り戻す作業予定とのことです。
引き続き、修理の過程なども取材して復活を遂げるボンネットバスの姿を取材予定です。
次回の記事をお楽しみにお待ちください。

(取材・文:犬山 涼)

【関連リンク】

四国交通株式会社
https://yonkoh.co.jp/
クラウドファンディング・プロジェクトページ
https://readyfor.jp/projects/yonkoh598 (すでに成立済み)

 

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