祖谷のおもてなし 古民家やど-紺屋- パート2 囲炉裏でいただく贅沢な山の伝統料理

2022.08.12

特集

四国のまんなか、秘境のまち三好市。その中でもさらに奥に入った祖谷の久保集落には、家族であたたかいおもてなしをしてくれると評判の古民家宿がある。茅葺きの建物に泊まり、目の前の畑からは採れたての野菜、そして囲炉裏を囲む。そんな贅沢な体験のできる古民家やど-紺屋(こうや)-を紹介する。

【前回の記事はこちら】
>>祖谷のおもてなし 古民家やど-紺屋- パート1 秘境に眠っていた宝に泊まる

徳島県三好市 外国人観光客にも人気の古民家宿でいただく祖谷の伝統料理

古民家やど-紺屋-。ここは、一家でおもてなしをしてくれる古民家宿だ。

まるで家族の一員になったような居心地の良さに、国内からはリピーターの方々も多く、また海外からの旅行者にも人気で、予約がとりにくい時期もあるほど。

古民家に泊まるのもなかなかできない経験だが、ここで提供される料理も、地元の食材をふんだんに使用したもので、その味も評判だ。泊まれない場合でも、郷土料理体験の問い合わせがあったりもするそうだ。

家族の様に囲炉裏を囲む ジビエや川魚、山菜など祖谷でしか食べられない味でおもてなし

紺屋には、二つの囲炉裏がある。建物の真ん中の居間には、縦長の大きな囲炉裏がある。炭がおこされ、宿泊者はここで、祖谷の伝統料理でもてなされる。 

この日は、中山伸介さん、真理さんご夫婦と、真理さんのお母さん日裏久美子さんに、囲炉裏を囲んでお話をうかがった。 

評判の古民家やど-紺屋-の食事だが、「祖谷でしか食べられない、山のもの」で必ずおもてなしするようにしているそうだ。

祖谷の郷土料理 ひらら焼き

囲炉裏のまんなかには「ひらら焼き」これは祖谷の伝統料理で、昔は平らな石の上で、調理していたという。

みそで土手が作られ、中には、川魚のあめご、祖谷のジャガイモ、手作りこんにゃく、祖谷の岩豆腐と、ここでしかないものが並び、みそ、砂糖、酒などで味が整えられている。少し甘いみそに絡んで、素朴で深い味わいの祖谷の食材が引き立つ。 

この囲炉裏では時期によっては、祖谷のイノシシ肉をじっくり炊いた、しし鍋が提供されるときもあるそうだ。 

秘境祖谷の味がぎっしりのお膳

お膳にも、祖谷の味が詰まった皿が並ぶ。ワサビ醤油でいただく、鹿肉のローストは、さっぱりとして食べやすい。ジビエ肉が苦手な方もいるが、このローストは臭みが全くなく、説明がないと、ジビエ肉と分からない方もいるだろう。栄養価もとても高い。

そして、季節の野菜の素揚げやサラダと、野菜もたっぷりだ。山菜の小鉢は、わらびとイタドリ。もちろん祖谷で、中山さんご一家で採ったもので、塩漬けにして保存しているそうだ。

ご飯茶碗には、羽釜で焚かれた、ふっくらとしたご飯が入っている。祖谷の雑穀3種、ヤツマタ(シコクビエ)、アワ、ヒエも一緒に炊かれていて食感も良い。

徳島県にしかない郷土食 そば米雑炊

お膳には、そば米雑炊もある。そばの実を粉にせず、茹でた実を出汁の中に様々な具と共に入れたものだ。これは、祖谷でお正月や、集まり事など、主にお祝いの際に多くに出されるものだ。

手打ちそばとは、また違った珍しいそば料理が味わえるのもうれしい。

吉野川の清流で育ったあめごは囲炉裏で2時間 ていねいな、時間をかけたおもてなし料理

囲炉裏では、川魚のあめご(アマゴ)が焼かれている。2時間かけて、じっくりと遠火で焼かれている。毎回、お客さんの到着時間に合わせて焼き始めるそうだ。

串のまま、あめごにかぶりつくが、身がふっくらとしていて、ジューシーだ。味は塩だけのシンプルなものだが、新鮮な魚の味そのものが引き立つ。

祖谷の伝統料理を受け継いだ中山さんご夫婦

また、料理についてはご夫婦で担当もあるそうだ。ひらら焼きや、様々なお皿に盛りつけられたお料理は基本的に真理さん、あめごの塩焼きと薪で焚く羽釜ご飯は、旦那さんの伸介さんの担当。

また、祖谷の伝統料理をお二人に伝えた、真理さんの母、久美子さん曰く「はじめは、祖谷の郷土料理は、私が手伝っていたけれど、もう今は二人で十分できる。私はもう手伝わなくても大丈夫。」と、その様子から、若い世代が祖谷の味をも引き継いでくれたことへの安堵が感じられた。

パート3では、古民家宿で体験できるアクティビティを紹介する。

【次の記事はこちら】
>>祖谷のおもてなし 古民家やど-紺屋- パート3 農業体験・郷土料理体験

古民家やど-紺屋-

https://kouya18508.wixsite.com/kominkayado
徳島県三好市東祖谷久保311

(取材・文・写真: ショーン ラムジー)

 

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