世界シェアNo.1の旅行ガイドブックに祖谷を載せたアメリカ人 パート2|祖谷の全てを楽しむメイソン・フローレンス氏

2023.01.08

特集

徳島県三好市祖谷、訪れるだけでも大変である秘境が年を追うごとに、特別な旅を求める外国人旅行者に人気となっている。
それは25年ほど前に初めて祖谷を訪れ、紹介記事を書いたトラベルライター、そしてイベントプロモーターであるメイソン・フローレンス氏の活動に始まるとも言えるかもしれない。
祖谷を第二の故郷と想うアメリカ人を紹介する。

【前回の記事はこちら】
世界シェアNo.1の旅行ガイドブックに祖谷を載せたアメリカ人 パート1|大好きな祖谷を第二の故郷に メイソン・フローレンス氏

徳島県三好市 祖谷に通い続けて25年 第二の故郷の人々とつながりから生まれる新しいアイデア

「祖谷に戻ってくる1番の楽しみは、昔からの友達に会うこと」と、メイソン氏は話してくれる。

「祖谷は秘境、住むのも難しいところ。それだからか、みんな自分達で何でも出来るし、個性もあってとてもユニーク」 

「僕が祖谷に通いだしてから25年以上経つけれど、ここの友達から来るたびに新しいことを学んでいるよ」

しばらくすると、まるで合図を待っていたかのように、82歳になる隣人が飲み物を持ってやって来た。
そして、すぐメイソン氏に梅の木の剪定を教え始めた。 

「祖谷の住人は今でも昔ながらのやり方を大事にしている。彼らが若かった頃の昔の生活の様子も話してくれるけど、もっとすごいんだよ。そんな話を聞くのも楽しみ」 

「これを口伝として保存出来たらいいんだけれど…地域や行政がやってくれればいいんだけれどね」 

観光地としてはもちろん、移住先としての秘境・祖谷の魅力を伝えたい

メイソン氏を知っている人なら誰でも知っているのが、彼にはたくさんの夢やアイデアがあるという事。
少しの会話でも複数の新しいアイデアをどんどん提案してくる。

祖谷の観光を発展させるための宣伝の仕掛け方、祖谷の住民を増やす方法、彼は自分の事業に対してだけでなく、大好きな第2の故郷である祖谷を発展させるための多くの案も常に考えているようだ。 

全国2位の生産量を誇る四国徳島産柚子への強い思い

夢をたくさん持つメイソン氏だが、柚子に関わる夢もある。
柚子は高知県が有名だが、祖谷の隣はすぐ高知県だ。祖谷では自家用に庭に1~2本と柚子の木がある家庭も珍しくはない。

「柚子の季節に間に合って良かった」メイソン氏は言う。
「新型コロナウイルス感染症で2年も逃したから、今年も新鮮な柚子を手に出来ないかと心配していた」

収穫した柚子はそのまま使用する他、メイソン氏の1番好きな保存方法としては、調味料としての柚子胡椒。
祖谷で手作りだ。これは柚子の皮をすりおろし、みじん切りにしたトウガラシと塩を混ぜて作るもの。

出来あがった柚子胡椒は数か月、冷凍だと長期保存が可能で、野菜、肉、魚どんな料理にでも香りの良いアクセントをつけてくれる。

四国徳島産の柚子への情熱を海外へも

買いもの袋や箱を家に運び入れ、「ちょっと、これ見てみて」と言うメイソン氏。 

この日は、三好市の中心部である池田で買い物をしてきたようだ。 

「これを友達にあげるんだよ。みんな絶対、すごい喜ぶよ!」 

彼の話している友達とは、東南アジア地域を中心に活躍しているミシュランの星付きレストランのシェフ達だ。
メイソン氏と一緒に祖谷を訪れ、既に秘境の食材も味わっている。
何度も訪れるシェフもいる中、メイソン氏は柚子の使い方の提案だけではなく、山菜や岩豆腐、そばなど様々な食材を紹介している。 

「また新しいアイデアが浮かんだから、シェフたちに電話するよ」 

メイソン氏はこうしてまた新企画を立てた。

タイ・バンコクでトップシェフが四国産柚子を使った料理を提供する「柚子サファリ」を開催

今回はタイのホテルで行われる、四国の柚子を使用した高級ディナーイベントだ。
収穫後の柚子を出来るだけ新鮮な内に使用するため、慌ただしいスケジュールに組み込まれた柚子ディナーの企画は、海外と日本国内の友人の繋がりを通して、バンコクのパークハイアットホテルで12月中旬に「柚子サファリ」の名の元、実現することになった。 

>>https://www.facebook.com/ParkHyattBangkok/photos/a.1910565089206425/3252639311665656/

10名のトップシェフが、海外では珍しいこの柑橘を使用して、それぞれのオリジナル料理を提供する。
そのために、四国からの新鮮な100kgの柚子が使用される。 

そして「柚子サファリ」は好評に終わり、この柚子ディナーは毎年恒例のイベントになるという。 

「世界中の人々と、特別な場所『祖谷』をシェアしたい」アイデアがあふれるメイソン氏の企画

しかしメイソン氏は、こうも続けている。

「シェフの何人かを祖谷に連れてきて、祖谷で食のイベントをいくつかしてみたい。祖谷の人々と協力して、畑から食卓へ、いや、畑の中の食卓はどうかな?」彼の眼は新しいアイデアの光でキラキラしている。

「そして、僕の知り合いだけでなく世界中の人々とこの特別な場所、祖谷をシェアしたい。彼らが祖谷の住人達と触れ合うことで、祖谷の人々は外の文化に触れることが出来て、訪問者達はもう他では失われてしまった大事な何かを見出せるはずだよ」 

祖谷を深く想うメイソン氏、次はどんなアイデアで皆を楽しませてくれるのだろう。

【関連記事】
>>天空の徳島柚子を育てる中村 博さん vol.1 農園のベンチから見た光景
>>徳島県三好市の食の魅力を生かし観光誘客を目指すガストロノミープロジェクト。〜アンバサダー・大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.6〜

三好市観光公式サイト 大歩危祖谷ナビ
https://miyoshi-tourism.jp/

(取材・文: ショーン ラムジー、写真: ショーン ラムジー & ディエゴ アレナス)

オススメ観光情報

  • 祖谷のかずら橋(国指定重要有形民俗文化財)

    平家一族の哀話を秘める、秘境“祖谷”にあるかずら橋。シラクチカズラ(重さ約6トン)で作られたもので、長さ45m・幅2m・水面上14m。 昔は深山渓谷地帯の唯一の交通施設であった。3年毎に架替えが行われる。(国指定重要有形民俗文化財)

    ◎かずら橋ライトアップ
     毎日19:00~21:30の間かずら橋をライトアップします(渡橋はできません)。
     闇夜の中に照らされた「かずら橋」が幻想的です。

    ◎平家伝説の残る「琵琶の滝」がすぐそばです。
     祖谷のかずら橋を渡ってすぐに左に50mくらい行くと、落差約50mの滝が現れます。

    ◎川遊び:「琵琶の滝」を更に50mくらい行くと遊歩道があり、そこから川辺に下りて遊べます。

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  • 琵琶の滝

    昔、平家落人が京の都をしのび、この滝で琵琶をかなで、つれづれを慰めあっていたことから名付けられたと言い伝えられている高さ50mの滝。

    ◎更に奥に50m進むと遊歩道があり、そこから石階段で川辺に下りて川遊びができます。

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  • ボンネットバス(西祖谷コース)

    祖谷街道を昔懐かしいボンネットバスが走る。
    JR阿波池田駅前から大歩危、かずら橋、祖谷渓等を約5時間45分かけて巡る定期観光バス。平家伝説や歴史を解説するガイドも付いておりのんびり秘境を満喫できる。要予約。7月8月9月はボンネットバスではなく貸し切りバスにて運行。途中乗車・下車については要相談。

    ◎乗車日の3ヶ月前から予約可能。ご予約はお電話又は、メールにて受付。

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