天空の徳島柚子を育てる中村 博さん vol.1 農園のベンチから見た光景

天空の徳島柚子を育てる中村 博さん vol.1 農園のベンチから見た光景

つづら折りの山道を登った先に現れたのは、まさに天空の果樹園でした。

ここは、中村博さんが営む『中村農園』。最高に気持ちいい場所で、柚子を育てている。その名も、天空の徳島柚子。

 

 

中村さんは、三好市で役所勤めをしていたが、ご両親が始めた柚子栽培を2年前に引き継いだ。それまで、三好市で生活しながら、農業従事者の高齢化だけでなく、良いものに恵まれているにも関わらず、農業の担い手が減少していくという状況を見てきた。そして、あるとき漠然と畑に入ったのが、果樹園を引き継いだきっかけだったという。

 

「一番見晴らしのいい場所に、ベンチがあるんです。そこから見えるのは、四国の山々と空に浮かぶ柚子。両親が二人で見ていた光景です。普通は、柚子畑からこんな眺めはありません。ここの柚子は、この風景を見て大きくなるんだと。今まで当たり前に見てきたものが、ここにしかないものだと気付いた瞬間でした」と中村さん。

 

『中村農園』の柚子畑は、東向きの斜面に広がっている。良好な日当たりと、夜間と日中の大きな温度差、そして、水はけのよい土壌は、柚子の生育に適している。逆に、収穫や運搬など、作業面では過酷な環境だ。

 

このような、急峻な山で行なう特有の農業は、『にし阿波の傾斜地農耕システム』として、世界農業遺産に登録されている。そして、『中村農園』の柚子とその加工品は、『にし阿波の傾斜地農耕システム』のブランド認証品としての認定も受けているのである。

 

中村さんが栽培に従事する前は、出荷先は農協だけだったが、中村さんは自ら営業をして、販売先を増やしていった。また、果実だけを販売するのでなく、果汁を瓶詰めにしたり、ジュレなどの加工品も開発した。さらに、本来であれば捨ててしまう皮も有効利用するため、新たな商品開発にも積極的に取り組んでいる。

 

「ここにしかない風景と、ここだからできる柚子作りを大事にした『天空の徳島柚子』を、より多くの人に味わってほしい」と中村さん。

 

 

現在は、三好市地域交流拠点施設『真鍋屋』や『箸蔵とことん』など、市内のいろいろな場所で購入することができる。ぜひ一度、味わってみていただきたい。

 

vol.2へつづく。

中村農園公式HP:https://www.nakamurafarm.com/

(取材・文/大掛達也)