渓谷の隠れ宿 祖谷美人 パート2 時代と共に変化をつづける谷口さん一家 

2023.02.04

特集

秘境祖谷。人里離れた美しい自然とそこで営まれる昔ながらの暮らし、そして様々な伝説を求めて、四国の中でも特別な場所として国内外から多くの人々が訪れる地域だ。
そんな山奥の宿を求める方に人気の、代々祖谷で暮らす家族が営む温泉宿を紹介する。

【前回の記事はこちら】
渓谷の隠れ宿 祖谷美人 パート1 祖谷川を見下ろす秘境の宿

徳島県三好市秘境祖谷の名湯宿「祖谷美人」 谷口さん一家 

秘境の温泉宿「祖谷美人」。祖谷に代々住み続ける谷口さん一家が運営する宿だ。 

取材には、笑顔で迎えてくれた取締役の谷口誠二さんからお話を伺った。
フレンドリーな人柄が、ご自分の食事を前にした楽しそうな写真からも見てとれる。

元々、誠二さんのお父さんは祖谷で製材所を経営していたそうだ。
祖谷は昔から杉やヒノキなどを産出し、林業の盛んな地域でもある。 

ところが製材所の建っている土地が台風により崩れ、操業が困難になってしまった。
そのため、かずら橋を訪れる観光客向けの駐車場を始め、そこに祖谷そばのお店「祖谷美人」を開いた。

1975年(昭和50年)のことだ。名物の【祖谷そば】でお蕎麦屋さんは繁盛したが、今度はかずら橋に続く新しいバイパス道路と大型駐車場ができ、誰も「祖谷美人」の前を通らなくなると、また、家族での事業の危機となった。

時代に合わせて変化する谷口家の「祖谷美人」 祖谷そばと貸切露天風呂で人気宿へ

谷口さんは「祖谷美人」を移転することにした。
現在の場所は、基礎工事から誠二さんとお父さんが自分達で重機を運転して行ったというから驚きだ。 

基礎工事が進んでいる中、地元の親しい方からの「今の時代だから宿もやったら良い」とのアドバイスに、なんと急遽、宿も始めることにしたという。 

更に、誠二さんの奥さんが観光関連の仕事をしていた経験から「各部屋に露天風呂」という、時代を見据えた提案をした。
その案も功を奏し、渓谷を見下ろし独り占めできる露天風呂が宿の人気の理由となったのは言うまでもないだろう。 

美人の産地 祖谷 

祖谷地方は昔から美人が多いと言われる地域でもあるが、もっと詳しく温泉宿「祖谷美人」の名前の由来を伺った。 

昔、駐車場にお蕎麦屋さんを開いた時に、誠二さんのお父さんが奥さん(誠二さんのお母さん)が「祖谷美人」だからということで名付けられたそうだ。
そして、愛情のこもったお蕎麦屋さんの名前は、もちろん宿にもそのまま引き継がれた。 

この日は残念ながら外出されていた誠二さんのお父さんを除いた、誠二さんのお母さん、奥さん、妹さんが揃っており、お願いして写真を撮らせていただいた。祖谷美人がずらりの写真となった。 

地元の人や家族のアイデアをすぐに取り入れられる柔軟性は、家族経営ならでは。 

祖谷美人はラグジュアリーな宿であるのに、地元の方とふれあうこともできる唯一無二の場所だ。 

最後に誠二さんは「ぜひ世界中の方に祖谷を訪れて、渓谷の自然、温泉、料理を堪能していただきたい。また、この地域には沢山の見どころも楽しみ方もあるので、ゆっくりと時間を取ってお越しになって秘境を満喫してください」と話してくれた。 

パート3では、自慢の祖谷そばを始めとした、ランチでも立ち寄れる祖谷美人のレストランを紹介する。
>>渓谷の隠れ宿 祖谷美人 パート3 自慢のそば レストランのこだわりの味

【関連記事】
>>Iya Valley Tours 【part1】 地元ガイドと発見する秘境祖谷
>>世界シェアNo.1の旅行ガイドブックに祖谷を載せたアメリカ人 パート1|大好きな祖谷を第二の故郷に メイソン・フローレンス氏

【詳細情報】
渓谷の隠れ宿 祖谷美人
https://miyoshi-city.jp/spot/渓谷の隠れ宿祖谷美人
〒778-0102 三好市西祖谷山村善徳9-3
TEL:0883-87-2009
HP】【Facebook

(取材・文: ショーン ラムジー、写真: ショーン ラムジー & 祖谷美人 )

オススメ観光情報

  • 祖谷のかずら橋(国指定重要有形民俗文化財)

    平家一族の哀話を秘める、秘境“祖谷”にあるかずら橋。シラクチカズラ(重さ約6トン)で作られたもので、長さ45m・幅2m・水面上14m。 昔は深山渓谷地帯の唯一の交通施設であった。3年毎に架替えが行われる。(国指定重要有形民俗文化財)

    ◎かずら橋ライトアップ
     毎日19:00~21:30の間かずら橋をライトアップします(渡橋はできません)。
     闇夜の中に照らされた「かずら橋」が幻想的です。

    ◎平家伝説の残る「琵琶の滝」がすぐそばです。
     祖谷のかずら橋を渡ってすぐに左に50mくらい行くと、落差約50mの滝が現れます。

    ◎川遊び:「琵琶の滝」を更に50mくらい行くと遊歩道があり、そこから川辺に下りて遊べます。

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  • 琵琶の滝

    昔、平家落人が京の都をしのび、この滝で琵琶をかなで、つれづれを慰めあっていたことから名付けられたと言い伝えられている高さ50mの滝。

    ◎更に奥に50m進むと遊歩道があり、そこから石階段で川辺に下りて川遊びができます。

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  • 神代踊り

    神代踊りは、1100年以上昔の雨乞いがその起源とされ、各地で伝えられてきた厄除けや虫送りの儀式とは異なるものである。
    あでやかで勇壮な踊りは、昭和29年(1954年)に国の重要無形民俗文化財に指定されている。
    令和4年(2022年)にユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された。

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