囲炉裏のある暮らし(Part-1)

2021.01.12

特集

家のこころ

 

現代ではもうめったに見られなくなった囲炉裏。時代物の映画やドラマで見たことはあっても、実際の囲炉裏を見たことがない方も多いのではないでしょうか。

むかしむかし、あるところに・・・と始まる昔話では、茅葺き屋根の家で囲炉裏を挟んで座るおじいさんとおばあさんが定番の様に描かれていますが、昔の暮らしを実際に体験したことのない私達でも、なんだかなつかしく思うようなもののひとつが囲炉裏かもしれません。

三好市の最も奥に位置する祖谷でも、囲炉裏は随分長いあいだ、家事など実用的な家の中心部として、そして家族が集う、家のこころとして機能してきました。

祖谷の伝統的な建築では、土間に調理用のかまどがありますが、他に、家族用の居間に囲炉裏が一基、そして客間にも囲炉裏がもう一基などある家が多かったようです。また、客間に二基の囲炉裏がある裕福な家庭もありました。以前は冠婚葬祭など自宅で行われていたため、大勢のお客様をおもてなししていたのでしょう。

囲炉裏は、四角くあけられた床に粘土質の土や灰が敷かれ、炉縁という木枠で囲まれています。囲炉裏の上からつるされた自在鉤には鍋や鉄瓶が掛けられますが、自在鉤はその名前の通り、自在に高さを変えることができます。昔は鍋を火に近づけたり、離したりすることで調理の火加減を調節していました。また、自在鉤の鍋に近いところに魚の形の固定具がありますが、うかがったところによると、魚は目を開いて眠るところから、夜も火の番をしてくれ火災よけになるということです。

他地域でもそうであるように、祖谷でも家の中心として囲炉裏は大事な役目を果たしてきました。

現代では囲炉裏は電気やガスの調理器具に代わりましたが、カセットコンロと囲炉裏の違いはあっても、今も昔も家族で同じように鍋を囲んでいるのですね。

 

Part2では、祖谷の囲炉裏のある昔の暮らしを紹介します。

(文:Shaun Lamzy ショーン ラムジー)

三好市公式観光サイト【大歩危祖谷ナビ】
https://miyoshi-tourism.jp/

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