【ママの履歴書|1軒目】 頭師カヨ子さん・徳島県三好市『スナック・エデン』 vol.1

2020.12.26

特集

日が暮れゆく街なかで、逆に灯がともり始めるのがスナックの看板だ。人口比で数えると、池田町は日本でも有数のスナックタウンであるとか。スナックが立ち並ぶ光景には、かつて、JT(日本たばこ産業株式会社)の工場があり、多くの酔客であふれていた街の隆盛を思い起こされる。

数多ある池田町のスナックには、それぞれに個性があり、それぞれに魅力的なママがいる。今回から、ハイボール片手に聞いた話を中心に、ママの履歴書なるものを書いていきたい。

 

最初に訪れたのは『エデン』。店の中から聞こえてくるのは、カラオケの歌声ではなく、三味の音だった。

ママの頭師カヨ子さんは、三味線の先生でもあり、プレイヤーとしていろいろな施設やイベントに出向いて演奏を披露している。お店でも、お客さまからのリクエストがあれば、見事な演奏と美しい歌声で楽しませてくれる。

 

徳島県三好市,スナック,エデン

 

「昔ね、母が三味線を習っていて、子供ながらに近くで聞いていたのが、ずっと身体のどこかに残っているのかもしれませんね。本格的に練習するようになったのは、40歳を過ぎてから。今では、お弟子さんも増えて、演奏会でも一緒に弾けるようになって、楽しくさせてもらっています」というのは頭師カヨ子さん。

 

弾いてくれるのは、阿波踊りの『阿波よしこの』をはじめ、『望郷じょんから』や『涙そうそう』、あるいは『ジンギスカン』など、ジャンルも幅広く、レパートリーも豊富。敬老会などに呼ばれて演奏すると、大変喜ばれるそうだ。

 

ときには、店内で臨時の三味線教室が始まることもあり、初めて三味線を持つという人にも、やさしく教えてくれる。以前は、東京や関西、あるいは、海外からなど、遠方から訪れたお客さまに体験してもらうと、『とてもいい思い出になった』と帰っていく方が多くいたという。スナックが、三好外から来た人たちとの交流の場になり、思い出が生まれているのは、とてもいい。

 

スナックは、もちろんお酒を楽しむ場。

そこに、ママとの会話であったり、カラオケであったり、人それぞれの楽しみ方が加わる。だから、たくさんのスナックがあっても、それぞれに惹かれる理由は違う。スナックに、三味線というエッセンスが加わるのが、『エデン』の魅力。

 

ちなみに、『エデン』とは楽園という意味。古い話にはなるが、ジェームス・ディーン主演の映画、『エデンの東』が頭に浮かぶ人も多いだろう。店名の由来が気になるところであるが、今回はここまで。次回に続く。

 

【エデン】
徳島県三好市池田町1758-2

頭師カヨ子さん
FaceBook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100004145328141

 

(文/大掛達也)

 

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