イケダ湖の石との戯れ。

2020.11.30

特集

ちょっと頭が疲れたな、一息つきたいな。

そんな時、東京で暮らしていた頃はしょっちゅう近くのコーヒーショップでお茶をしていた。昨年4月に三好市にUターンしてから、近くにすぐ行けるコーヒーショップがないこの町で、私がコーヒーショップに代わるくらいよく足を運ぶようになったのが清流、吉野川のダム湖であるイケダ湖だ。

 

山々の季節の移ろいが、鏡のような水面に反射している様や、ゆったりと流れる雲を見たり、鳥たちが軽やかに飛ぶ風景の中で愛犬の散歩をしたり、娘を連れてのピクニックは私たちの暮らしの定番となった。

その空気感を味わうだけでも気持ちがいいイケダ湖で、私たちのプラスの楽しみとなっているのが、イケダ湖の湖畔にある石での遊びだ。自分が気になる石を娘と一緒にそれぞれ見つけ、この石はどこかの惑星から来たんじゃない!?とか、これはハートの形をしているね、〇〇ちゃんにあげたいな!とか、この色は何色っていうのかな?絵具や色鉛筆では出せない色だよね!など。。。いろんな発見をしながら、ひとつひとつの石や形から想像を膨らませ、石拾いに没頭する。

写真は家に飾ってあるイケダ湖で拾った石たち。

また、ロックバランシングという遊びでは、石を石の上に乗せてぴったりと安定させる絶妙のポイントを見つけることに、全神経を集中させ、成功した時にはおー!!歓声を挙げてハイタッチで盛り上がる。「ただの石で!」と思われるかもしれないが、私たち親子は石だけでも多いに楽しい時間を過ごすことができる。何より、私自身、子供と一緒に童心に帰ってそんな時間を過ごしていると、気づけば頭も心も軽くなって、深呼吸できるくらい要らない疲れが吹っ飛んでいるのである。

何万年前からこの地にあるかもしれない、このイケダ湖の石を触って戯れる。ただそれだけで、満たされるところがある。たくさんのモノで溢れた時代の中で、何万年もかけて自然の営みの中から生まれた産物の石に触れ、シンプルな時間を過ごすことは、娘にとっても彼女の深い部分に残る大切は記憶になるのではないかと思う。

私にとっても都会のコーヒーショップでは味わえなかったこの感覚が日常にあることは、新鮮且つ本来の豊かな時間を取り戻しているようにも感じられる。

 

(取材・文/藤阪樹里)

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