徳島県三好市の食の魅力を生かし観光誘客を目指すガストロノミープロジェクト。〜アンバサダー・大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.5〜

2022.03.21

特集

いよいよ本格始動!「ガストロノミープロジェクト」アンバサダー・大桃美代子さんが「三好の食」の担い手に出会う

徳島県三好市で、地場産の食材を活かした“新しい食の魅力創出”を目指してスタートした「ガストロノミープロジェクト」。このプロジェクトには、地元で食産業に携わるメンバーだけでなく知識豊富な専門家も参加している。アンバサダーに就任したタレントで一般社団法人 国際SDGs推進協会 理事の大桃美代子さんが、本格的に始動するプロジェクトに参加するため三好に再訪。

【前回までの記事はこちら】
>>酒蔵「今小町」「三芳菊酒造」を訪ねる~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.1
>>「にし阿波世界農業遺産」を擁する奥祖谷へ~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.2
>>三好人の元気の秘密に迫る~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.3
>>三好市観光特使に就任!!~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.4

若い力と地元の知恵が交わり、可能性が拡がっていく

2022年、いよいよ「ガストロノミープロジェクト」が本格始動する。地場産の食材を生かした新しい食の魅力の創出を目的とした試食会を開催するにあたり、アンバサダーの大桃美代子さんに三好市を再訪いただいた。試食会のメニューに採用する食材をはじめ、可能性を秘めた「三好の食」の造り手のもとを訪ねた。

ソムリエからワインの造り手へ…若き醸造家が構想する三好生まれ・三好育ちのワイン

最初に訪れたのは「NATAN葡萄酒醸造所」。こちらは井下奈未香さんが運営するワイナリーで、近隣の農家の方から借り上げた畑での葡萄栽培から醸造までを自ら行っている。様々な葡萄を育てながら三好の風土に最も合う品種を模索しているところだという。元々は奈良県のワインバーでソムリエとして働いていた井下さんだが、再婚をきっかけにご主人の地元である三好へ移り住んだという。移住をきっかけに醸造家に転身したのは、ソムリエとしてだけでなく造り手としてワインと関わりたかったからだ。

農業の担い手という点で井下さんと共通項のある大桃さん。「ワインは“テロワール(ワインを取り巻くすべての自然環境)”と言われるように、葡萄と風土の相性や造り手とワインの関係など様々な要因が噛み合ってはじめて成り立つものですよね。井下さんにとって三好はワインと深く関われる楽園の地なのではないかなと思いました」と語ってくれた。

酒どころ三好から生まれる新作ワインと料理のマリアージュに期待

写真中央の「shanti」は2021年の新作で「青い果実と完熟果実のハーモニーをテーマに仕込んだ」という優しい口当たりの白ワイン。


大桃さんは「ぜひガストロノミープロジェクトを通じて誕生していく新しい三好の“味”と合わせていただいてみたいですね。同じ土地で育まれたもの同士、すばらしいマリアージュを体験できるのではないでしょうか」と期待に胸を膨らませていた。

「三好の特産品」を生み出す、新たな農業の形を実現

井下さんと別れ「ガストロノミープロジェクト」にキノコを提供している「カフェレスト 太陽がいっぱい」へ。
こちらの記事で紹介したが、高齢化により管理が難しくなった山を代理で管理し、伐採した樹木を原木椎茸に利用するプロジェクトを考案中だった。件の原木椎茸の栽培がスタートしたということで、大桃さんと一緒に視察を行った。

三好の自然の恵みを受けた風味・香りが豊かな原木しいたけや古代米


ハウスの中に規則的に組まれた樹木。そばへ寄ってみるとこの通り。立派な椎茸が鈴なりで生えている。原木椎茸とは自然栽培されたものを指し、菌床椎茸にはない深い味わいを楽しむことができる。まさに三好の恵みを凝縮した食材とあって、「ガストロノミープロジェクト」のメニュー開発に欠かせない食材となっている。合わせて、ここでは古代米生産農家のメンバーとも面会が叶った。「桃米」を栽培している大桃さんは、農業の先輩の言葉を聞き逃すまいとしている様子だった。

「皆さんが培ってきた“智恵”。この智恵はとてつもない宝だということを地元の皆さんに自覚していただいて、未来に遺していきたいものです。若い世代や移住者の方々に伝えていくことができたら」と大桃さん。「ガストロノミープロジェクト」アンバサダーとして、三好の地を知り尽くした先輩方と若い世代を繋ぐ役目を全うしたいと力強く語ってくれた。

妖怪伝説、ジビエバーガー…「道の駅大歩危」で学ぶ風土

アンバサダーを務めるにあたり三好の風土を知りたいという大桃さんのリクエストに応え、「道の駅大歩危」を訪れることに。旧山城町には妖怪伝説が残される場所が点在し、その数はなんと160カ所以上! 「道の駅大歩危」には「妖怪屋敷と石の博物館」が併設されており、山里や水辺に現れたとされる妖怪たちが展示されている。

恐ろしくもどこか愛嬌のある妖怪たちを見て笑顔を見せる大桃さん。この土地で数多くの妖怪伝説が生まれたのは、厳しい自然の中に生きる子供たちを守るためのひとつの方法だという説がある。無事に成長してほしいと願う大人たちが、身の回りにひそむ危険を妖怪という形で表現し注意喚起したというものだ。「妖怪は怖いものだと思っていましたが、子供たちの身を守るためのシグナルだったのですね。ここにも先人の知恵が生かされていたのだと感じました」


ここに来たら「Cafe&ジビエ」の“イノシカバーガー”(900円)も外せない。祖谷では昔から猪肉や鹿肉をいただく習慣があり、これらを観光に訪れた人たちにも味わってほしいという思いから生まれた新名物だ。「Cafe&ジビエ」の立役者はPR担当の島和也さん、三好を愛する横川和輝さん、フレンチ出身シェフの渡辺広志さんという若い世代の3人。ジューシーなパティはジビエ100%で、肉そのものの力強い味わいを楽しむことができる。「生臭さは一切ありませんし、スパイシーなソースが効いていて。工夫が凝らされたイノシカバーガーは必食ですね。この絶景の中でいただけるのも何より!」と、大桃さんもご満悦の様子だった。

食の担い手たちが教えてくれた今の三好。試食会への期待が高まる

さまざまな世代が担う「三好の食」に出会った大桃さん。

「訪れるたびに、少しずつですが“三好の魅力貯金”が貯まっていきます。生産者の方々と出会うことは私のライフワークのひとつなんですよね。明日の試食会ではどんな食に、どんな人々に出会えるのか。楽しみでしかありません!」

次回お届けするのは「ガストロノミープロジェクト」試食会の様子。食のアンバサダー・大桃美代子さんが新しいメニューから感じ取ったこととは?

【次の記事はこちら】
>>三好食材を使った魅力的な新メニュー試食会〜大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.6

【前回までの記事はこちら】
>>酒蔵「今小町」「三芳菊酒造」を訪ねる~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.1
>>「にし阿波世界農業遺産」を擁する奥祖谷へ~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.2
>>三好人の元気の秘密に迫る~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.3
>>三好市観光特使に就任!!~大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.4

大桃美代子(おおもも・みよこ)
Instagram:miyoko_omomo
タレント、新潟食料農業大学客員教授、一般社団法人 国際SDGs推進協会理事、農業ジャーナリスト。新潟中越地震の復興の姿を見てもらおうと、故郷で「桃米」を栽培している。雑穀エキスパートの資格を取得するなど、食への造詣も深い。

三好ガストロノミープロジェクト
Instagram:miyoshi.gastronomy

オススメ観光情報

  • 道の駅大歩危(妖怪屋敷と石の博物館)

    店内には妖怪屋敷や石の博物館、お土産売り場などがあります。
    また、地元で獲れた食材を活かしたジビエバーガーなども販売しています。
    テラスに出て食べる事も可能です。
    妖怪屋敷内にて、全天候型の謎解きゲーム「妖怪村の秘密」がオープンしました。

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  • Cafe&ジビエ

    ジビエは高タンパク、低カロリーで栄養価が高い食材です。
    ジビエ独特の臭みがないので、非常に食べやすいです。
    ジビエに対する概念を覆してくれるでしょう。

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  • 落合集落(国選定重要伝統的建造物群保存地区)

    落合集落は、東祖谷のほぼ中央、祖谷川と落合川の合流点より山の斜面にそって広がる集落である。集落の起源は明らかになっていないが、平家の落人伝説や開拓伝承などが祖谷地方には残っている。集落内の高低差は約390mにも及び急傾斜地に集落を形成している。
    江戸中期から昭和初期に建てられた民家や、一つひとつ積み上げた石垣と畑などの光景は、なつかしい山村の原風景を醸し出している。
    平成17年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。

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