徳島県三好市の食の魅力を生かし観光誘客を目指すガストロノミープロジェクト。〜アンバサダー・大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.3〜
2022.02.21
「ガストロノミープロジェクト」アンバサダー・大桃美代子さんに聞く、環境・人・食がつなぐ“秘境”の未来。
徳島県三好市で、地場産の食材を活かした“新しい食の魅力創出”を目指してスタートした「ガストロノミープロジェクト」。このプロジェクトには、地元で食産業に携わるメンバーだけでなく知識豊富な専門家も参加している。アンバサダーに就任したタレントで一般社団法人 国際SDGs推進協会 理事の大桃美代子さん。秘境旅への同行記の第三回では、三好人の元気の秘密に迫る。
【前回までの記事はこちら】
>>「アンバサダー・大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.1〜酒蔵「今小町」「三芳菊酒造」を訪ねる」
>>「アンバサダー・大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.2~世界農業遺産「にし阿波世界農業遺産」を擁する奥祖谷へ」
「元気の秘訣を知りたい」。“元気印”の三好人との出会い
三好市に初めて訪れた大桃さん。酒蔵や祖谷雑穀生産組合の面々と顔を合わせるなか、「三好の皆さんは笑顔がとても素敵。年齢を問わず、皆さんが朗らかで元気なのには理由があるのでしょうか」と気になる様子。そこで、三好の“元気印”と言えばこの方々というお二人に会いに向かった。
名物「ぼけあげ」や「祖谷こんにゃく」が並ぶ『歩危マート』 山口さんが作る祖谷のパワーフードに舌鼓
JR土讃線・大歩危駅前の名物店と言えば、ここ「歩危(ぼけ)マート」。まずは、自ら“笑顔のおばはん”と名乗る山口由紀子さんが切り盛りするこちらのお店へお邪魔した。名物は、顔の二倍はあろうかという大きさの「ぼけあげ」や、旨味がぎゅっと詰まった「祖谷こんにゃく」、弾力が強く食べ応えのある「祖谷とうふ」など。「見た目からしてパワーフードであることが分かりますね!」と驚いた様子の大桃さん。
「ほら! せっかくだから食べてごらん」と世話を焼いてくれる山口さんに促され、ぼけあげの出汁が沁み出たお汁にたっぷりの大根おろしを載せた「雲海汁」を試食。大桃さんは「じんわり優しいお味。体の内側から温まりますね。柚子の香りがたって爽やかさも感じられます」とご満悦の様子だった。
訪れた人の心も体も元気にしてくれる秘境・三好の人・食べ物
この地で50年以上にわたり商いを続けているという山口さん。「歩危マ」で取り扱っているのは地元の食材や祖谷でしか食べられない食品。一つひとつの商品について話を伺った大桃さんは「祖谷の食材を知り尽くしていて、それぞれの個性を生かした調理方法も教えてくれる。旅に訪れた方にとってこれ以上ない学びとなりますね」と語っていた。「山口さんから湧き出る”元気”。心が元気であるために、体も元気であることが欠かせませんよね。地元の食材を使った日々の食事をいただくことが言わば山口さんの元気を支える屋台骨なのかもしれませんね」。
一人目の“元気印”からパワーを享受した大桃さんが次に向かうのは−−
奥祖谷の文化を今に伝える「奥祖谷めんめ塾」
次に出会った“元気印”な三好人は「奥祖谷めんめ塾」を主宰する都築麗子さん。奥祖谷名物の一つに数えられるそば。この地域は寒暖差が激しく、この気候がそばの栽培にうってつけなのだ。香りの良いそば粉は三好市の特産品にもなっている。都築さんは元々パン屋を営んでいたというが、時代の流れに合わせて蕎麦屋へ鞍替えした。そばを提供するのみに留まらず、そば打ちの技術と奥祖谷の文化を伝える役割も担っている。観光客が増えたこともあり、そば打ち体験も始めたのだという。
民謡「祖谷の粉ひき節」を歌いながらそば打ち体験
昔ながらの石臼を囲み、いざそば打ち体験。「嫁じゃ嫁じゃと嫁のなしょたてなよ 可愛い我が子も人の嫁よ サアヨイヨイヨ」と澄んだ唄声が響いた。「祖谷の粉挽き節」の節回しを聴きながらゆっくりと石臼を回しそば粉を挽いていく。「じいんと心に響く民謡です」と、麗子さんの唄にしばし聴き入る一同。打ちあがったそばをいただきながら、「一曲の唄が奥祖谷の文化を伝えてくれました」と大桃さんも笑顔を見せていた。
この日は「裏の山から採ってきた」という蕗や山菜の天ぷら、鹿肉の天ぷらも振る舞われた。「せっかく来てもらっているから地のものを様々食べてほしい」という麗子さん流のおもてなしだ。大桃さんは「ご自身で山に入られる姿に驚きました。私も負けてはいられません(笑)」と感嘆した様子。
「年齢を重ねた上で元気でいること。人生100年時代と言われる今、私たちが目指す生き方が、ここ祖谷にありました」
視察を終えて。大桃美代子さんが語る、三好・祖谷のこれから
歩危マートの山口さん、奥祖谷めんめ塾の麗子さんと交流した大桃さんは大歩危峡まんなかの遊覧船へ。今回の視察を経て感じたことをざっくばらんに語っていただいた。
「短い時間でしたが三好市の“今”に出会うことができました。一言で言うと、こんなに印象深い土地はないですね。かずら橋、大歩危峡、落合集落、祖谷温泉など必ず立ち寄りたいスポットでは、“秘境”を近くに感じることができました。そして直接お話しを伺うことのできた中和酒造、三芳菊酒造、谷雑穀生産組合の皆さんや歩危マートの山口さんに奥祖谷めんめ塾の麗子さん。彼らと触れ合えたこともまた、この旅の財産です」。
幾度となく、三好で出会った人々の笑顔やパワフルさについて言及していた大桃さん。
「暮らす土地、そして食が持つ力。人が元気で在るためにはこの二つが欠かせないと思います。三好市は人・環境・食が三位一体でパワーを放っているように感じました」。
「ガストロノミープロジェクト」のアンバサダーとして活動を開始する大桃さんは、「三好市の存在と魅力を全国の人々が当たり前のように知っている、そんな未来を思い描いています」と力強く語ってくれた。
【次の記事はこちら】
>>「アンバサダー・大桃美代子さんの秘境探訪 Vol.4〜大桃さん、徳島県三好市観光特使に就任!」
大桃美代子(おおもも・みよこ)
Instagram:miyoko_omomo
タレント、新潟食料農業大学客員教授、一般社団法人 国際SDGs推進協会理事、農業ジャーナリスト。新潟中越地震の復興の姿を見てもらおうと、故郷で「桃米」を栽培している。雑穀エキスパートの資格を取得するなど、食への造詣も深い。
三好ガストロノミープロジェクト
Instagram:miyoshi.gastronomy
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歩危マート
地元でも人気の高い、ぼけあげや祖谷こんにゃく、祖谷とうふなどたくさんの商品を取り扱うお店。
また、地場産の新鮮な食材を豊富に取り揃えています。 -
祖谷のかずら橋(国指定重要有形民俗文化財)
平家一族の哀話を秘める、秘境“祖谷”にあるかずら橋。シラクチカズラ(重さ約6トン)で作られたもので、長さ45m・幅2m・水面上14m。 昔は深山渓谷地帯の唯一の交通施設であった。3年毎に架替えが行われる。(国指定重要有形民俗文化財)
◎かずら橋ライトアップ
毎日19:00~21:30の間かずら橋をライトアップします(渡橋はできません)。
闇夜の中に照らされた「かずら橋」が幻想的です。
◎平家伝説の残る「琵琶の滝」がすぐそばです。
祖谷のかずら橋を渡ってすぐに左に50mくらい行くと、落差約50mの滝が現れます。
◎川遊び:「琵琶の滝」を更に50mくらい行くと遊歩道があり、そこから川辺に下りて遊べます。 -
大歩危峡まんなか
レストランやお土産品売り場があります。
また、日本列島の成り立ちが分かる貴重な場所として、国指定の天然記念物、名勝にも指定されている吉野川で
遊覧船に乗る事も出来ます。
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