秘境のまち徳島県三好市 山村の原風景 落合集落 パート1
2021.09.28
茅葺き屋根の古民家、傾斜地の畑、石垣の続く里道。落合集落は祖谷の風土に根付いた伝統的な暮らしがいまだ残された、秘境の生きた宝ともいえる集落だ。
日本は国土の70%以上が山地であるが、そのなかでも徳島県三好市は森林率が86%と、地域のほとんどが山であるといってもよい。
一般的には平野に町や農地が多く見かけられるが、祖谷ではその平野自体がほとんど存在しない。山々から続く傾斜した土地が川までつながっているのみだ。
そんな過酷な条件のもと、祖谷ではその傾斜地で、独自の暮らしと農業を営んできた。そして、その暮らしは今でも、十分すぎるほどに昔の面影をとどめている。そんなことから、すでに近代化が終わっている日本の他の地域と比べて、祖谷は「日本の原風景」と呼ばれることもある。
祖谷は急峻な山々がどこまでも連なっているが、その傾斜地に張り付くように、各集落が点在している。これらの集落の歴史は1000年以上に遡り、そして常に秘境として文献などに紹介されてきた。
現代に入り、幹線道路がようやく通ったとともに、道路のそばに家を移す人々もいたが、そのまま傾斜地で先祖代々伝わった土地に住み続ける一家も多い。
時の彼方にある場所
その伝統を守る集落として「落合集落」があげられる。落合集落は、東祖谷のほぼ中央に位置し、また一番大きい集落でもある。
江戸中期から昭和初期に建てられた建物も多く、2005年、国の重要伝統的建築物群保存地区に選定された。
集落の標高差390m。曲がりくねった里道や、耕作地、古民家、社叢。
その落合集落の全景を眺めるには、祖谷川の反対側、中上の「落合展望所」を訪れるとよい。集落の地図や案内、駐車場やベンチ、お手洗い等も完備されている。
この展望所からは、新緑から、紅葉、雪景色までどの季節でも集落の眺めを楽しむことができる。
【パート2】【パート3】では、昔の姿をいまだ残す集落の様子や、茅葺き古民家ステイなどを紹介していく。
落合集落
https://miyoshi-tourism.jp/spot/ochiaishuraku/
(取材・文: ショーン ラムジー、写真:大歩危祖谷ナビ & ショーン ラムジー)
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