日本三大秘境 徳島県三好市『祖谷のかずら橋』三世代の渡り初め|パート3

2021.03.11

特集

四国と本州を繋ぐ、人と人を繋ぐ、これからの世代。 

徳島県三好市、「祖谷のかずら橋」では、3年ごとのかずらの架け替え作業が終わり、竣工式では「三世代の渡り初め」という、一家族、三世代ご夫婦が架け替えたばかりの橋を渡るという行事が行われました。 

前回に続いて、今回は、渡り初めをされた谷さんご一家の一番若い世代、谷拓樹さん、春花さんご夫婦にインタビューをさせていただきました。 

三好市祖谷で生まれ育った拓樹さんは、現在、四国から本州へかかる橋を維持・管理する会社に勤めており、主に管理のための移動式設備機械の整備等を担当されてます。 

奇しくも、職業でもプライベートでも橋に縁があるようですが、職業についてさらにうかがいました。 

「四国と本州を繋ぐ橋を維持する仕事、それは、単に仕事だからするというのでなく、多くの人のために本当に必要とされていることを行っているという思いがあります。 

橋は大きさ、形、様々ですが、現場に行くたびに、今でも、その大きさ、それの持つ役割に圧倒されます。橋は人工物ですが、私にとっては人々の暮らしに必要なものとして自然の風景の一部として見えています。そして、その橋を維持できる仕事をしているのを誇りに思っています」 

管理する橋によって移動もある大変なご職業ですが、その忙しい中でも拓樹さんの生まれ育った三好市祖谷の集落のお祭りなどにご夫婦で参加されているそうです。 

春花さんに集落のお祭りのことをうかがってみました。 

「大阪で生まれたため、お祭りといえば、屋台が出ていて、みんなでワイワイして楽しむ行事という感覚でいました。しかし、祖谷の集落でのお祭りは、一番大事なのが神事で、参加するこちらもとても神聖な気持ちになります。本当に集落全体で地域の神様を大切にされています。 

今回のかずら橋の渡り初めもそうですが、ここでは、みなさんが昔からの習わしを心から大切にされているのだと思いました」 

また、行事などがなくても、きれいな山の空気を吸いにご夫婦で三好市まで来ることも楽しみにしているそうです。 

最後に、渡り初めの感想と、弘樹さんにとって「橋は何を意味しているか?」を質問させていただきました。 

「地元のかずら橋の渡り初めをさせていただきましたが、橋に関わる仕事をする者として、本当に光栄に思っています。 

私にとって、橋は一言でいうと『つなぐ』ものです。全ての橋は、物だけではなく、人と人をつなぐ、気持もつなぐものです。ずっとそういったことに関わっていきたいと思っています」 

 これからの世代である拓樹さんご夫婦も、おじいさん世代やお父さん世代とはまた違ったかたちで人々を繋いでいくのですね。 

(取材・文: ショーン ラムジー)

三好市公式観光サイト【大歩危祖谷ナビ】
https://miyoshi-tourism.jp/

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