日本三大秘境 徳島県三好市『祖谷のかずら橋』三世代の渡り初め|パート1

2021.03.03

特集

祖谷のかずら橋 架け替え竣工式 

徳島県三好市祖谷地方。ここは日本三大秘境のひとつともいわれ、秘境と呼ばれるにふさわしい昔の様子が偲ばれるような「祖谷のかずら橋」があります。
祖谷のかずら橋は、国指定重要有形民俗文化財であり、その名のとおり、山から採取されたシラクチかずらを6トン使用してつくられ、今では3年ごとにそのかずらの架け替えが行われます。今年はその年にあたり、222日に架け替え竣工式が行われました。 

橋の竣工式では、三世代三夫婦による渡り初めが行われます。このご一家三世代の様に橋が世代をこえて長く受け継がれるようにとの思いが込められているそうです。 

祖谷のかずら橋の渡り初めには祖谷からのご一家が選ばれました。谷英二、峯代ご夫婦、谷敏司、典子ご夫婦、谷拓樹、春花ご夫婦です。  

当日の式では、はじめに神事、続いて竣工式が行われました。紅白のテープカットのあとはいよいよ渡り初めです。
神主の方を先頭に、谷さんご一家の一番の年長者から順番に渡りはじめます。 

かずら橋は普通の橋と違い歩くたびに揺れるだけではなく、橋の床は「さな木」と呼ばれる木材を編んだ簡素なつくりです。さな木とさな木の間は、大きく開いていて、14メートル下の祖谷川が足元からそのまま見えます。
その橋を、谷さんご一家はゆっくりと渡っていきます。  

この日は好天に恵まれ、架け替えられたばかりのかずら橋も美しく、和装のご一家がその橋を渡っていく様子は本当に昔もこのようであったのだろうと思わせる特別な情景でした。 

渡り初めを終えられた谷さんご一家。大役を終えられたところでお話を聞かせてもらいましたが、滞りなく式が終了し、無事に橋も渡られたという事でリラックスした笑顔を見せていました。
普段着でも渡るのが大変と言われているかずら橋を和装で渡られ、特に草履をはいている足元に気を使われたそうです。 

そしてかずら橋の思い出や家族のお話しなどを楽しそうにされる中で、ふと真剣な顔になられて「今回、渡らせていただいたことで、かずら橋はずっと残し続けていかなければならないものだという思いをあらためて強くしました」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。 

また、三好市教育委員会の宮田さんからも渡り初めについてお話をうかがいました。宮田さんは、長い間、かずら橋の竣工式と渡り初めの行事の担当をされているそうですが、三世代のご夫婦はなかなかいないため、探すのがとても難しいとの事。けれども三好市のかずら橋の渡り初めは、ぜひ地元からのご一家で行ってほしい、そしてこの行事もずっと続いていって欲しいと願われているそうです。 

パート2では三世代で渡り初めをされた、谷さんご一家と祖谷の暮らしのお話しを紹介していきます。 

(取材・文: ショーン ラムジー)

 

三好市公式観光サイト【大歩危祖谷ナビ】
https://miyoshi-tourism.jp/

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