奥祖谷のマルチプレーヤー 祖谷の地美栄 高橋敬四郎さん パート1

奥祖谷のマルチプレーヤー 祖谷の地美栄 高橋敬四郎さん パート1

徳島県三好市には秘境祖谷がある。その祖谷地方の中でもさらに深くに入った地域は奥祖谷と呼ばれる。その奥祖谷で、様々な業務をこなし、地域の顔として活躍される高橋敬四郎さんを紹介する。 

奥祖谷で高橋敬四郎さんと聞くと、一番初めにどの方も「ああ、祖谷の地美栄(いやのじびえ)の所長さんね。」と答える。 

祖谷の地美栄(いやのじびえ)は、20148月に開業した野生鳥獣(ジビエ)の専用の食肉処理加工施設。地元の猟師達が搬入する鹿や猪を加工している。この施設の所長が高橋敬四郎さん。オープンからの初代所長さんだ。 

険しい山々に囲まれた、秘境の名がふさわしい祖谷。そこでは昔から追い山猟が行われてきた。時代が変わり、現代では鹿やイノシシが畑を荒らす有害獣として捕獲されるようになり、その有効利用として加工販売できる施設がつくられることになった。そこで施設長として白羽の矢がたったのが高橋さん。 

所長さんとしての仕事は多岐にわたる。高橋さんは、地元猟師が搬入する鹿や猪を手早く加工していく。プロとしては経験したことのない仕事だったため、県外で修行もされてきたそうだ。今では、「はやくきれいに」をモットーに、この地域のジビエに合った独自の処理の技術も確定されている。ジビエは部位ごとにパックされ、次々と商品となっていく。その合間にはインターネットで注文を受け、スタッフに指示を出し、事務業までこなしていく。 

高橋さんは「私は、陸(おか)に上がった河童でね」と謙遜して言う。これは環境が変わり、実力が発揮されないことへのことわざであるが、実は高橋さんは本当に海で長い間働いてきた。そして今は、祖谷では様々な業務やイベントでなくてはならない山の人として活躍している。 

次回は、そんな、ことわざを覆した祖谷のマルチプレーヤー、高橋さんの海での経歴や、その経験を生かした祖谷での様々な顔を紹介する。 

祖谷の地美栄(いやのじびえ) https://iya-gibier.com/

(取材・文・写真: ショーン ラムジー)