地域おこしの先輩 市岡日出夫さん パート1 都会から秘境へUターン
2022.06.02
現在の田舎暮らしブーム、そして各自治体が移住促進として様々な取り組みを行っている中、すでに30年前に秘境にUターン、地域おこし活動をしてきた人がいる。今回は、三好市東祖谷の市岡日出夫さんを紹介する。
市岡日出夫さんを訪ねて徳島県三好市奥祖谷へ
この日は、奥祖谷の図書館を訪れた。ここは市岡さんが管理する、山の図書館「ヤマガラ文庫」だ。旧高校の校舎が利用されていて、廊下や教室の様子に懐かしい気持ちになる。窓からは新緑、見下ろすと祖谷川という秘境の図書館。
都会での勤務を経て、故郷祖谷へUターンしたのは30年前。地域おこしのパイオニア
市岡さんは、現在三好市東祖谷でコミュニティサポートボランティアをはじめ、祖谷の情報発信など、様々な地域に関わる活動を行っている。
祖谷生まれ、祖谷育ちの生粋の祖谷っ子だ。
しかし、市岡さんは祖谷から出て長い間、千葉県の郵便局で勤務していたという。
祖谷へ戻ったのは約30年前の事。今のような田舎暮らしや移住ブームが起こるはるか以前の事だ。
過疎化が進み祖谷がなくなる…!?豊かな自然と歴史がある秘境・祖谷を残したいとUターンを決意
きっかけは、郵便局員時代、祖谷に里帰りをした時の同窓会にて。市岡さんが生まれ育った祖谷の今井集落は、その時で3~4軒だけに減っており、友人も「この集落は祖谷の中で一番先に過疎になった」とふともらしたそうだ。
市岡さんは、「祖谷を捨てたつもりはないが、これではいけない。今帰らないと帰れなくなる。帰る祖谷がなくなる。」と、千葉に戻るとすぐ「1年後に辞めます。」と宣言。
途中で迷わない様にと宣言したそうだが、その祖谷をなくしたくないという強い危機感と決心が伝わってくる。
千葉から祖谷へ…サラリーマンとは違い田舎での暮らしと仕事は自然の中で体を動かし好きなことができる
祖谷に戻って来た市岡さんは、さっそくジャガイモを植えたりして、畑仕事を始めた。身体をたくさん使うけれど、充実した日々で、「サラリーマンではない生活。しんどいけれど、生まれ故郷の自然に囲まれて好きなことができる。」と、戻ってきた当時の暮らしを楽しそうに振り返って話してくれた。
そして、市岡さんは次第に地域おこしへと活動の幅を広げていったという。
茅葺き古民家「ちいおりトラスト」でボランティアから教わった生き方
三好市東祖谷釣井集落には、モダンにリノベーションされた茅葺き古民家の宿泊施設「ちいおり」があり、国内外から多くの人々が訪れる。
しかし、20年ほど前は「ちいおり」は茅葺き屋根をはじめ、様々な建物の部分の修理が必要な状態だった。そこで、当時のマネージャーが「ちいおりプロジェクト」を立ち上げ、多くのボランティアを集め、屋根のためのかや刈り、畑仕事やそば打ちなど様々な、祖谷で昔から伝わる作業を共同で行っていた。
ボランティア達に仕事を教えるのは市岡さんの役目だったが、反対にボランティアで来ていた外国の方から「仕事が人生ではなく、人生を楽しむのが人生」と教わったそうだ。ここで市岡さんは、お金儲けに一生懸命にならない生き方、祖谷で本当に人生を楽しむ生き方を考えることになる。
パート2では、市岡さんが25年間発行し続けている、「てんご新聞」を秘境での活動とともに紹介する。
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地域おこしの先輩 市岡日出夫さん パート2 「てんご新聞25周年」独立!活採祖谷村
(取材・文・写真: ショーン ラムジー)
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武家屋敷旧喜多家
宝暦13年(約250年前)に建てられた祖谷地方でも最も大きな武家屋敷。屋島の戦に敗れた平氏一族が落ちのびてきた東祖谷山村大枝地区は、平家縁の地である。
この平家の里の名主であった「喜多家」は、祖谷の上層階級の武家屋敷である。庭先には「鉾杉」もあり一見の価値有り。 -
落合集落(国選定重要伝統的建造物群保存地区)
落合集落は、東祖谷のほぼ中央、祖谷川と落合川の合流点より山の斜面にそって広がる集落である。集落の起源は明らかになっていないが、平家の落人伝説や開拓伝承などが祖谷地方には残っている。集落内の高低差は約390mにも及び急傾斜地に集落を形成している。
江戸中期から昭和初期に建てられた民家や、一つひとつ積み上げた石垣と畑などの光景は、なつかしい山村の原風景を醸し出している。
平成17年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。 -
篪庵(ちいおり)トラスト
17年程空き家になっていた(築300年)古民家を東洋文化研究者のアレックス・カー氏がリノベーションしました。
何度も修復を重ね、今でわ世界中から数多くの観光客が訪れるスポットとなっています。
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