祖谷育ち 幻の年越しそば パート2 三好市東祖谷「久保満月会」 

2022.01.13

特集

日本三大秘境のひとつ、かずら橋や伝統的集落の点在する、徳島県三好市祖谷地方。ここはまた、昔から名だたるそばの里でもある。その祖谷そばの里で行う、地域コミュニティによる年越しそばづくりを紹介する。

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ひっそりとした冬の秘境 祖谷での年越しそばづくり当日

年の瀬迫る12月29日。年越しそばづくりも佳境になった「久保満月会」を訪ねて、三好市東祖谷久保地区へうかがった。

数日前の寒波で降った雪がまだ畑を覆っている。雪景色の中、そばづくりの作業をする建物から湯気が上がっているのが見えた。

「久保満月会」の年越しそばづくりでは、保存料や添加物は使用せず、冷凍保存もしない。祖谷のそば粉を使った、本物の贅沢なそばだ。

作りたてそのままの祖谷そばを届けるために、ここでは年の瀬に、そば打ち、茹で、箱詰めと三つの建物で分かれて、忙しく作業が行われている。

地元産のそば粉と祖谷の澄み切った水で作る 本物の手打ち祖谷そば

はじめにそば打ちの建物へ向かった。

戸を開くとそこでは地域の方々7人ほどが製麺を手分けして行っていた。力のいる作業が多いためか、男性が多い。

はじめに300kgのそばから製粉されたという、大量のそば粉が手作業でふるいにかけられる。

そこに山からの清らかな湧き水を加え、そばの生地を作っていく。

三好市祖谷の地域住民が熟練の技で作り出す 祖谷のソウルフードそば

生地を作るのは重労働。しかし、祖谷の女性もたくましく、慣れた手つきでこね、あっという間に粉と水から、丸い生地の玉に仕上げていく。 

丸くまとめられた生地は、そばを伸ばす担当の3名へ。三つの大きなそば打ち台が並び、そこで、麺棒を使って、生地がどんどん伸ばされていく。生地は大きく、重く、そば打ち台に当たるたびに大きな音がする。これも力の必要な大仕事だ。

きれいな円形を保ったまま、そばの生地はどんどん薄く延ばされ、最後は折りたたまれて、いよいよそば切りの担当へ渡される。

とてもスムーズに見えるのだが、地元の方々の熟練した技術があってこそ、このようにそば打ちがどんどん進んでいくのだろう。

手早くかつ均等に…そば切りの音が響く

そして、ちょうどよい厚さに延ばされた生地が、そば切りの作業台へ運ばれ、そこで切られて麺の形となっていく。

そば切りは、専用のそば切り包丁が固定された台で行われるが、包丁を動かして切っていくのは全て人の手で行われている。そば切りの音もリズミカルに響きわたっている。 

ここでは、贅沢な年越しそば、祖谷育ちの本物の手打ちそばが作られている。

パート3では、つづいて年越しそばの出荷までを紹介する。

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祖谷そばが食べられるお店

旅の宿 奥祖谷
https://www.okuiya.jp/

都築商店
http://www.iyajiman.com/

峡谷の隠れ宿 祖谷美人
https://iyabijin.jp/

(取材・文: ショーン ラムジー)

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