祖谷を走る四国交通のボンネットバスのラストイヤーを見逃すな!

2021.04.05

特集

祖谷渓を走るボンネットバスをご存知だろうか?

丸みを帯びたボンネットバスの姿は、自然あふれる渓谷の狭く曲がりくねった道に不思議とマッチし、祖谷観光の名物のひとつになっている。しかし残念ながら、人気者のボンネットバスが惜しまれつつ引退することになった。つまり、祖谷を走るボンネットバスを見られるのは、今年がラストイヤーになってしまうのだ。

ボンネットバスとは、1950年代にバスの主流であった形式で、運転席の前部にエンジンを搭載した独特の形状をしている。現在の一般的なバスに比べると、なんともレトロな雰囲気が漂う。シニア世代には若かりし頃の懐かしさを思い起こさせ、若い世代には古き良き昭和を感じられることだろう。

現在走っているボンネットバスは、1966年製。

この四国交通が運行するボンネットバス、なんと55歳。かつては、路線バスで使われていたが、徐々に新型バスへその座を譲り、1982年から定期観光バスとして生まれ変わった。丁寧に整備しながら、これまでに多くの観光客を喜ばせてきたが、老朽化が進み、修理や整備に手間がかかるほか、部品の調達も難しくなってしまった。

 

「整備に手間はかかりますが、新型のバスと違って、設備に電気系統がないので、思っているより故障は少ないんですよ。ガイドさんが肉声で観光案内をする中で、『止まったときは、みなさんで押してください』なんて冗談も交えていましたが、実際に途中で運行できなくなったことはないと記憶しています」とのこと。

 

今回、四国交通のお二人に話を聞いてきた。

今回、四国交通株式会社の営業部課長補佐の原田佳彦さん、同部の宮本隆明さんのお二人に話を聞いてきた。

「最新のバスと違って、車内にはエアコンがありません。窓を開けて走りますので、木々の匂いや風がとても心地よく感じられるのも魅力のひとつですね。以前は夏場も走っていましたが、近年は気温も高く、具合が悪くなる方が出てはいけませんので、春と秋の運行になっています」

 

ボンネットバスが走るルートは、JR阿波池田駅から平家屋敷を経て、祖谷美人かホテルかずら橋で昼食、その後、かずら橋を渡って、祖谷渓谷の小便小僧を見学。道の駅大歩危に立ち寄ってから、大歩危峡観光遊覧船に乗り、JR阿波池田駅へ戻る。途中、宿泊するホテルで降りることもできる。運行時間は、およそ6時間なので、大阪など関西エリアからであれば、日帰りの利用も可能だ。

「長い歴史があるエリアを、レトロなボンネットバスが走るので、いろいろな角度から歴史のおもしろさを感じてほしい。また、地元の方、とくに子供たちにも知ってもらい、応援してもらえたら、嬉しいですね」

2020年で引退が予定されていたが、1年延期

本当は、昨年いっぱいでの引退が予定されていたが、コロナ禍であまり運行できなかったため、1年延期となった。運行は4~6月と10、11月の土日祝日。コロナ感染対策のため、定員を11人ほどに限定して運行する予定だ。

運賃は大人8800円、子ども8500円。予約は乗車日の3カ月前から。問い合わせは、四国交通阿波池田バスターミナル(TEL0883-72-1231)まで。

ボンネットバスの「ラストイヤー」、その雄姿を目に焼き付けつつ、祖谷をめぐる観光を楽しんでいただきたい。

 

四国交通ホームページ
https://yonkoh.co.jp/

 

(取材・写真/堂野彩加、文/大掛達也)

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