これ、食べてみんで! 第2回『酒と串焼き home』の鶏塩らーめん 自家製ネギ油

2021.01.27

特集

真の酒飲みは、つまみを必要としない。いきつく先は、塩をチョビチョビ舐めながら、延々と飲んでいられるという。しかし、それは体に毒。楽しいお酒は、おいしい料理と共にあるべし。

『酒と串焼き home』は、まさに酒と串焼きを共に味わえる、楽しさにあふれたお店だ。看板メニューの串焼きだけではなく、鶏料理、冷菜・サラダ、炭焼き料理、一品料理、自家製PIZZA、〆、デザートまで。バラエティ豊かで、メニューも豊富。お酒と共に楽しむ方はもちろん、料理中心にしっかり食事をしていくお客も多い。

 

さて、『いせや』でのアルバイトを経て、料理への興味を高ぶらせた西田さんは、いずれ自分のお店を持ちたいという気持ちも芽生えさせ、調理を学ぶべく居酒屋で働き始めた。結婚を機に、福島県へ移住。そこでは、そば店やレストランで経験を積み、パスタやスペイン料理まで、幅広い料理ジャンルの知識と技術を身に着けた。

 

順調に料理人としてのスキルを磨いていたが、26歳の頃、あの未曾有の被害をもたらした『東日本大震災』が起こってしまったのである。被災した西田さんは、三好市へUターンすることを決意。

アルバイトをして生計を立てつつ、物件を探し、29歳で現在の店をオープンした。

「正直、街の人口が減っていることも感じましたし、不安は小さくはありませんでした。でも、若い人が通える店がなく、需要はあると思っていました。何より、地元で店をしたいという気持ちが強くて。やっぱり、地元が好きなんですよね」と西田さん。

 

オープン直後は、話題になることも多く、滑り出しは順調。およそ1年は、忙しい日々が続いたという。しかし、2年目を迎えたあたりから、めっきり客足が遠のいていった。

「あの頃は、本当にヒマでしたね(笑)。不安も募りましたが、『ラ・ターボラ』の岸上さんや『heso salon』の西崎さんが、よく飲みに連れていってくれて、精神的に助けてもらいました。そんな時期にも、フードメニューを変えたり、ドリンクメニューを増やしたり、諦めずに続けていたのがよかったんでしょうね。徐々にお客さまが増えていって、その後はピンチもなく、営業を続けてこられた。いろいろな方にお世話になって、感謝の気持ちでいっぱいです」と西田さん。

 

 

そこで、西田さんの「これ、食べてみんで」な一品は、『鶏塩らーめん 自家製ネギ油』(700円)。鶏ガラではなく肉自体からとったスープは、旨味が分厚く、それでいて雑味のないおいしさ。しっとりやわらかい鶏チャーシューも麺と一緒に食べやすく、添えられた自家製ネギ油を加えると香りが広がり、なんとも楽しい一杯。しかも、料理の際に出る鶏肉の端材などを上手に活用して、価格もお手頃。まさに、〆の一品にぴったりだ。

 

 

「オープンから8年たって、メニュー数はだいぶ増えました。最近では、スタッフの名前を入れたドリンクを作って遊んでみたりすることも。売れるメニューを考えるのは難しいですが、昔に比べて、肩の力が抜けてきたのかなと。このまま続けていけたらいいですね」と西田さんは、ビール片手に応えてくれた。

そこに行けば、いつもと変わらぬ一品があり、いつもとはちょっと違う楽しい料理もあり、お酒も飲めて、食事もできる。

お店の中は笑顔があふれていて、なんだか温かい気持ちになれる。それはつまり「家」なんだと。ここで時間を過ごせば、西田さんが付けた『home』という店名に込めた想いが伝わることだろう。

 

(取材・文/大掛達也)

 

酒と串焼き home

三好市池田町サラダ1797-7
TEL.0883-72-5811

FaceBook:https://www.facebook.com/sake.kushi.home/

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