「自分たちの良いところを見つける。カフェという通過拠点」Sachi’s Kitchen 店主 牛尾 幸代さん
2021.09.09
Sachi’s Kitchen(サチズキッチン)は、コーヒーやお菓子をお持ち帰りできるお店だ。コーヒーは四国初となる、ニュージーランドで創業したコーヒーロースター「オールプレス・エスプレッソ」を取り扱っている。自家製のお菓子は売り切れる前に買いに行かないとって思ってしまうほど美味しい。「自分たちの良いところを見つける、この場所ではそんな機会を提供していきたい」そう話すのはSachi’s Kitchen店主、牛尾 幸代さん(以下さっちゃん)。
お店へ行くと先客がいて順番を待つ間、外のベンチで黒板のメニューを眺める。中からお客さんと話す楽しそうなさっちゃんの声が聞こえてきた。いつもの光景だ。席が用意された大きなお店ではないし、基本的にはお持ち帰りのスタンド式だが、外でコーヒーを片手に談笑してるお客さん達もいたりして、なんだか賑わいがある。みんな、さっちゃんといくつか話しをして一呼吸したように帰って行く。店へ入ると「ひさしぶりやーん!」と声をかけてくれて、いろいろ近況を話してひと盛り上がりしたところで注文をし忘れていたことに気づいた。これもいつもの光景だ。さっちゃんにコーヒーを淹れてもらう間、Sachi’s Kitchenのお店のことやさっちゃんの考えていることなど話を聞いた。
「ニュージーランドで感じてきたカフェや人、街のなかにある穏やかでやさしいコミュニケーションに新しい働き方のヒントを得た」
お店を始めて丸3年を迎えたと聞いて、なんだかもっと昔からお店があったように思えたが勘違いだった。以前はニュージーランドで何年か暮らしていて、カフェで働き、異国の街で過ごした経験が現在のSachi’s Kitchenのお店のあり方へと繋がっている。そんな話しをしてくれた。
ニュージーランドの人々は、“カフェで過ごしたり、立ち寄ったり“というのは、1日3度食事を摂ることよりも当たり前で自然なことなのだそうだ。たくさんのカフェがあり、形態も様々で、街の人は自分のお気に入りのカフェを一つや二つはもっているのだろう。店員と軽く立ち話をして一杯コーヒーをぐっと飲み仕事へ戻っていく人、毎日決まった時間に朝食を食べ、顔なじみと会話を交わしくつろぐ人、待ち合わせで立ち寄った人、街のお客さんも様々だ。
さっちゃん曰く「街の人たちは、カフェで二言三言交わす会話をとても楽しんでいる。わずかな時間でもカフェに立ち寄り、顔見知りとの何気ない話しでリラックスしている」。
日々、相手と顔を合わせ、目を見て、話す。単純なことなのだがそこから得られることは多分にあるのだろう。それにカフェに出かける頻度が多いということは、言い換えれば街のなかで過ごす時間も多いということだ。そうやって街やひとと接し、ゆるやかな変化に気づくことが、お互いを支え、理解していくことへ繋がっているように思えた。
「この場所で繋がった輪が新しい試みを生み出してくれることが楽しみ!」とさっちゃん。
Sachi’s Kitchenは三好市池田町シマにある。メニューもコーヒーに限らず、三好市でみつけた美味しい食材を取り入れたものもある。通勤前に立ち寄ってコーヒーを飲んでいく人や遠方から来てくれる人も多くいるそうだ。ワンコインを握ってフルーツジュースを買いに来てくれる小学生もいるとか。いろいろな人が交錯して、またお客さん同士の顔なじみも増えていく。
ニュージーランドで感じたものが、コーヒーやお菓子をきっかけに、さっちゃんを介して、Sachi’s Kitchenという場所が街のコミュニケーションの通過拠点のようになっていく。何か新しい試みが思いついたらさっちゃんところへ行ってみよう。新しい輪が生まれるかもしれないから。ごちそうさまでした。
Sachi’s Kitchen
FaceBook: https://www.facebook.com/sachiskitchen2017
Instagram:https://www.instagram.com/sachiskitchen_nzjp/?hl=ja
(取材・文・写真/横山道雄)
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