奥祖谷のマルチプレーヤー 祖谷の地美栄 高橋敬四郎さん パート2
2021.06.03
徳島県三好市には秘境祖谷がある。その祖谷地方の中でもさらに深くに入った地域は奥祖谷と呼ばれる。その奥祖谷で、様々な業務をこなし、地域の顔として活躍される高橋敬四郎さんを紹介する高橋敬四郎さんは現在祖谷の地美栄(いやのじびえ)の所長として勤務されている。
高橋さんは三好市の池田出身で、結婚されて奥さんの地元東祖谷へ来たが、秘境と言っても何となく知っている場所のため、すんなりと山の暮らしに馴染んだそうだ。
「もともと、ごみごみしている場所が苦手で、都会も憧れなかった。」穏やかに話す高橋さん。
しかし、驚くのは、祖谷へ来る前の経歴だ。高橋さんは実は、17年もの間船乗りとして働いている。
専門学校を出た後、機関士として世界中を周った。
20~30名ほどの船乗りとともにタンカー、雑貨貨物船、4000ものコンテナを積んだ大型船など様々な船に乗ったそうだ。特に自動車を運ぶ船では、アジアで積込み、パナマ運河を経てアメリカへ、そしてアメリカからサウジアラビアへ、そして日本からまたアメリカへなどと世界を何周もしている。
世界を見てきた男である。
その船乗り時代に、電機関連の資格を取り、料理の腕をあげ、器用さを生かした様々な技術を身に着けたのだろう。
奥祖谷では、ジビエで所長さん、祭りでは電気技師、茅葺き屋根修復の技術者、ジャズフェスティバルやイベントではシェフ、平家伝説を伝える歴史劇では役者、田舎体験講師とどこに行っても高橋さんがいる。
船乗り時代の経験が、今の祖谷での高橋さんの活躍につながっていのだろう。
照れてあまり話してくれなかったが、有名な高橋さんの歌声も、この海の暮らしで培われたものではないかと感じた。
次回は、様々な顔を持つ高橋さんの祖谷での暮らしや夢など紹介していく。
祖谷の地美栄(いやのじびえ) https://iya-gibier.com/
(取材・文: ショーン ラムジー、写真:祖谷十八人会 & ショーン ラムジー)
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